<MVS攻略メモ 番外編>
チャンピオンの秘密
2003年、10戦8勝という圧倒的強さでRSCチャンピオンとなり、MVS最強の男として君臨する風神GAKU。
そのドライビングは、他のドライバーとどう違うのか?詳細な区間タイムを比較・分析することにより、その秘密を垣間見てみよう。
<区間タイム dr:風神GAKU/kart:炎>
MVSを右図のように各セクターに分け、手動計測。
セクター1はコントロールラインから逆バンク出口、セクター2が奥のヘアピン出口まで(RSCのSSでは、ここまでがセクター1となる)、セクター3はストレート入り口までの区間であり、ここでは奥のヘアピンの脱出速度が明らかになる。ストレートを単独でセクター4とし、最後にサウストップから最終コーナー、コントロールラインに戻ってセクター5とした。
下表右端の各ラップタイムは自動計測器によるものなので、区間タイムの合計とは誤差がある。
Lap
Sector1
Sector2
Sector3
Sector4
Sector5
Time
1
7.53
6.47
3.33
5.46
5.48
28.288
2
7.29
6.37
3.27
5.47
5.47
27.782
3
7.44
6.54*
3.07*
5.67*
5.27
27.985
4
7.31
6.17
3.31
5.45
5.19
27.407
5
7.50
6.41
3.37
5.55
5.11
27.853
6
7.38
6.28
3.32
5.55
5.31
27.791
7
7.18
6.50
3.22
5.50
5.17
27.480
8
7.40
6.29
3.36
5.47
5.17
27.688
9
7.35
6.12
3.41
5.42
5.20
27.372
10
7.38
6.35
3.29
走行中止
 
区間ベスト
    *計測ミスと思われるので分析からは除外
この計測結果を見てまず気が付くのは、最終コーナーの可否が必ずしもラップタイムには影響しない、ということだろう。最も注目されるコーナーであり、また練習する際にも最適な場所であることには違いないのだが。
しかしこの表だけでは、風神のどこが速いのか?ということは簡単にはわからないだろう。実は風神の直前に、同じコンディションのもともちろん同じカートで、他のドライバーも全く同じ方法で計測してあるのだが、この2つを比較して初めて、チャンピオンの秘密が明らかとなってくる。ちなみにこのドライバーは、本人の希望により誰かは公表できないのだが、MVS現役常連の中では平均的なポジションにあるドライバーだと言っておこう。キャリアは約1年で2,000周、イベントにもほぼ毎回出場している。
まずは、それぞれの平均タイムを比較してみよう。正確を期すため、それぞれ最速/最遅は除外して計算したのが、下の表である。

<区間平均タイム比較>
driver
S1
S2
S3
S4
S5
total
実測タイムの平均
風神GAKU
7.38
6.35
3.32
5.48
5.25
27.78
27.712(-0.068)
someone
7.49
6.46
3.34
5.52
5.31
28.12
28.065(-0.055)
distance
0.11
0.11
0.02
0.04
0.06
0.34
0.353
注目すべきは、S1~S2、つまりRSCのセクター1、インフィールド区間の速さであろう。この区間に要する時間は1周の半分以下であるにもかかわらず、トータルタイムの差の約3分の2を、このインフィールドで稼いでいるのだ。さらにS3〜S4だが、ここは奥のヘアピンから立ち上がってストレートを加速していくだけの区間であり、ここで同じカートでありながら差が付く理由は、ひとえに奥のヘアピンの脱出速度(初速)にかかっていると思われる。さらに細かく区切ればはっきりするだろうが、所要時間に対するタイム差の比率が最大値となっているセクター2、特に奥のヘアピンが、風神にとっては最大の武器となっているコーナーなのである。どんなサーキットでも、一番重要なのは、ストレート直前の鋭角コーナーの立ち上がり速度である。その基本的なコース攻略を、誰よりも徹底的にやっているということにこそ、風神の速さの理由があるのだ。
次に、それぞれの区間ベストを合計した、理論上のベストタイムを計算してみる。
<区間ベストタイム比較>
driver
S1
S2
S3
S4
S5
total
実際のベスト
風神GAKU
7.18
6.12
3.22
5.42
5.11
27.05
27.372(+0.322)
someone
7.32
6.33
3.25
5.44
5.18
27.52
27.935(+0.415)
distance
0.14
0.21
0.03
0.02
0.03
0.47
0.563
ベストタイムでは、風神のセクター2の速さがよりいっそう明白となった。もちろん他の区間でも確実に差をつけているが、S2は突出している。また、もう一つ注目して欲しいのは、それぞれのドライバーの、理論上のベストタイムと実際のベストタイムとの差である。平均タイムの時はほぼ同じ(風神0.068秒差、someone0.055秒差)だった両ドライバーだが、ベストタイムになると約コンマ1秒の開きができている。正確さを期すために手動計測のミスと思われる数値は除外しているが、これを加えるとその差はさらに大きくコンマ3秒まで広がる。このことが意味するのは、風神のドライビングの精度であろう。ひとつひとつのコーナーや区間のテクニックよりも、1周をいかにミスなく走り、いかに自らのベストをつなぐかが、最終的な速さの決定的要因となるのだ。なにか特別なことをやっているわけではなく、ただひたすら練習し、走り込むことによってドライビングの精度を磨いてきた風神GAKU。彼のチャンピオンたる所以に秘密などなにもない。誰よりも多く基本練習に取り組み、誰よりも多く走り込んだ。それがドライビングの精度を高め、勝負でも自信の源となった。最強のチャンピオン・風神GAKUは、こうして生まれたのではないだろうか。
(2004/7/21)

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