| はじめに |
| 私・跳ね象はMVSスタッフであり、元プロのレーシング・ドライバーでもある。元プロである以上、ある程度速いのはあたりまえだが、それ以上にMVSスタッフという立場は、私に能力以上のものを要求する。つまり、スタッフがお客に負けるわけにはいかないのだ。 もちろん、スタッフは毎日山にいて、走りたければいつでも好きなだけ走ることができるし、それが仕事ですらある。練習量 が全然違うのだから、誰よりも速いのは当然のことだ。だが恐るべきことに、ウチの常連客はとんでもないやつらが揃っている。なにがとんでもないかというと、要するに私より速いのだ! このままでいいはずがない。私は過去をかなぐり捨て、真のMVSスペシャリストとなるため、日々特訓している。ヒマを見つけては走り込み、ヒマじゃなくても「セッティングだ」「このカート調子見てくる」「コースコンディション、チェックしなきゃ」などと、決して遊んでいるわけじゃないことをいいわけしてヘルメットを被る。 これは、そんな私の、「最新の」MVS攻略メモである。日々鍛練していると、なにかしら新しい発見があるものだ。試行錯誤も数多い。思いつくままに書いていくので不定期連載となるが、シ−ズン中は頻繁に更新していくつもりである…あ、あくまでも「つもり」だからね?(笑 |
lastupdate:2004/8/2
| サウストップ〜最終コーナー〜1コーナー | |
| いきなり最終コーナーである。だが実際には、MVSを攻略する為にはここから練習するのが一番わかりやすいのだ。もっとも、最終コーナーはそれ自体を単独で考えてはいけない。サウストップからの連続、いや、サウストップ+最終コーナーをひとつの複合コーナーとして考えよう。 メインストレートを走る際ももちろん、サウストップのことは常に頭に置いておかなくてはならない(1)。当然ながら、ここはMVSでは最高速に達するところだから、せっかくのそのスピードを殺してはいけない。カートという乗り物には機械的なサスペンションが存在しないので、ステアリングを切るとそれが抵抗となり、いやでも減速を強いられる。従って、なるべく最高速を維持してサウストップを抜けるためには、ステアリングの舵角を最少にし、なだらかに進入したい。早すぎると感じるくらい早めにアプローチを開始し、ストレートアウト側(左側)とサウストップのクリップはコース幅を最大限に使い、直線的にクリアしよう。この時私は、クリップをライン状に取り(2)、イン側タイヤをダートに落とすこともあるが、ここでは荷重がたっぷりと外側にあるので、スピードに影響はない。アクセルはもちろん全開のままだ。 |
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| サウストップをクリアすると、既に最終コーナーのアプローチが始まっている。 (3)で、私はアクセルを抜く。青いラインはアクセルオフ、またはパーシャルを示している。これは結果 的に、なにかいいことがあるのかもしれないが、私の場合は理論派ドライバーではないので、そこまで考えてはいない。ただ単にタイミングを取るためである。一瞬の間を置いて、静かにブレーキング(赤いライン)を開始する。 (4)はブレーキング・ゾーンだが、図でもわかるように、恐らく私のブレーキはかなりタイミングが早く(スポンジバリアのかなり手前)、また長くブレーキングしているだろう。 以前は突っ込み勝負で、かなり奥まで飛び込んでいったものだが、最近はできるだけ早めにしかし長いブレーキを使うようになった。そのかわり、左足の踏力は非常にソフトタッチである。これにより、クリップまでのカートの姿勢制御が、凄くやりやすくなった。ちなみにここでは、ラインは曲っているがステアリングは全く切っていない。 |
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| 2002年9月追記。'01後半から最近にかけて、私が取り組んでいるのは、ここのポイントだ。 ブレーキングでリアを流し、コーナー脱出に向けてのカートの姿勢を作るというのは、MVSならではのコーナリング・セオリーとなっているが、ここで最も重要なのは、そのアングルではなく、リアのドリフトの止め方だと思う。コーナー脱出にむけてーすなわちクリップに向けての最適なアングルになる瞬間、ステアリング操作とブレーキの踏力のバランスがベストであれば、リアの流れは自然に止まる。ここでアクセルをいれてエンジンのトルクにより流れを止めるのは、FK9のような小馬力エンジンにとってはパワーの無駄遣いである。アングルが最適になる瞬間にブレーキを完了すれば、そこからカートは自然にクリップへ向かって前進していく。その直後にアクセルオンすることにより、貴重なパワーを全て加速に使えるのだ。 |
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| (7)はクリップだ。ここで私は、思いきり縁石に右フロントタイヤを乗せてしまう。ここでも、荷重がしっかりとアウト側にかかっていれば、縁石に乗り上げた衝撃など全くない。こうすると非常に楽に、カートは立ち上がりラインに走っていってくれる。 後はピットロードとの区切りの白線を踏むような感じで、ギリギリまでアウトにふくらみながら、ここでもできるだけステアリングは切らずに、カートに逆らわずに1コーナーへ向かっていく(8)。冒頭で、「サウストップ+最終コーナーは複合コーナー」といったが、MVSの場合次ぎの1コーナーもこれに加えてしまった方がいいだろう。他のサ−キットのS字だと思えばいい。 |
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| 2002年9月追記。最終コーナーの脱出速度をMaxにするために目一杯アウトに立ち上がると、1コーナーにはインから進入することになるが、しっかりとクリップを取れば問題はない。せっかく得た最終コーナーからのスピードを殺さずに、全開でクリップを過ぎた後、ここでも極力ステアリングを切らず自然にアウトにふくらんでいく。アウト側のタイヤバリアをかすめるほどギリギリに立ち上がり、そのまま2コーナーへと向かう。 | |
| 2コーナー〜逆バンク |
2002/9/21 追記
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| 2コーナーというのは、MVSの特徴といえるインフィールド・セクションの入り口であり、MVS攻略の隠れたキーポイントである…そしてまた、私が最も好きなコーナーでもある。 冒頭で書いた「スタッフである私より速い客」というのは、ずばり将軍ばったこと大須賀師範のことである。彼も、もともとはMVSスタッフで、私よりずっと前からMVSを走り込んでおり、またカート歴もはるかに長い。その彼に勝つ、というか彼より速くなることが、MVSにおけるいちレーシングドライバーとしての、私個人の目標でもあるのだ。 その大須賀師範のドライビングを観察していて気づいたのは、私が彼より速く走っているのは2コーナーだけだ、ということだった。といっても、このコーナーに限って私の方が上手いとか、大須賀師範が下手くそだ!とかいうことではもちろんない。私の方が速い理由は単純明解、私の方がたくさんアクセルを踏んでいるからである。 MVSでは数少ない、左の中高速コーナーである2コーナーは、次の逆バンクほど目立たないものの、やはりアウトに向かって下り傾斜がついており、普通にアクセル全開のまま突っ込むと、まずたいていリアがズルッと滑る。FK9のような小馬力車では、アクセルオン時のテールスライドはすなわちタイムロス。また、続く逆バンクへのアプローチも考えると、この2コーナーは殺す、つまり犠牲にすべきコーナーなのだ。 まず右の写真だが、これは通常のセオリーラインである。 大須賀師範の走り(イコールMVSのセオリー)では、右の写真(2)2コーナーターンインの直後または同時にアクセルコントロールを始め、リアタイヤのグリップの限界ギリギリのところでスピードをコントロールしながら、スムーズにテールを流すことなく写真(3)クリップ(1)をとり、荷重をセンターに戻しつつそのまま白線をトレースするように写真(4)クリップ(2)から逆バンクにアプローチしていく。こうすることで、MVSでは最もテクニカルなコーナーである逆バンクへの進入を楽にし、写真(5)のようなセオリー通りのアウト(ミドル)・イン・アウトのライン取り、そして写真(7)逆バンク立ち上がり重視のコーナーリングを可能にしているのだ。 だが私はこの2コーナーの、マシンのグリップ限界ギリギリで抜ける綱渡り的感覚が大好きである。ここを犠牲にするなんて、おもしろくない!それに、1コーナーから2コーナーにかけては、MVSでは非常に貴重なストレートである。しかも下り。ここでのスピードを殺すなんてもったいない。やっぱりここは、全開で駆け抜けたい。気持ちいいし(笑 しかしそうすると当然、ターンイン直後からリアは暴れるし、全体の挙動も乱れ、さらに、逆バンクにまともにアプローチしようとすると、バランスは非常に不安定となり、タイムロスは必至である。ではどうするか? サウストップ〜最終コーナーの走りを思い出してみよう。サウストップはMVSいちの高速コーナーであるが、ここもドライバーの体重やマシンによっては、全開でいくとテールが流れたり最終コーナーへのブレーキングが乱れる場合がある。そこで体重の軽い人は、アクセルコントロールをしながらクリアするわけだが、軽い人でもターンインを早めに行い、ラインを極力なだらかに、直線的にとり、荷重をしっかりとアウトにかければ全開のまま、ストレートエンドでの到達スピードを殺さずにクリアすることができる。これをそのまま、2コーナーにも応用すればいい。 しかし、サウストップとは違い、2コーナーに続く逆バンクは逆コーナー、しかも間隔も短い。2コーナーをなだらかにクリアすると、逆バンクへはインから突っ込むことになってしまう。そのままでは、仮に曲がることはできてもクリップにもつけず、アウトに大きくはらんで失速してしまうだろう。 そこで生まれたのが私の必殺技、仮称「家元奥義」である。 2コーナーを全開で、蛇角も最小限に抑えて可能な限りの最高速でクリアする。そうすると、右の写真のクリップ(2)の時点でもうセオリーラインからははずれ、まっすぐ逆バンクのイン側に向けてカートは最高速で突進していく。ここでちょっとでも逆バンクのことを考えたり、右にかかっているはずの荷重を戻そうなどと考えたら、その瞬間にふり返しが起きるので失敗である。逆バンクのブレーキングを始めるその瞬間まで、2コ−ナ−立ち上がり速度をMAXにすることだけに集中しよう。 蛇角を最少に、というかほとんどステアリングを切らずに、逆バンクに向かってイン側コースぎりぎりのところまで吹っ飛んでいく。するとそこに、逆バンクの縁石の始まり(コースの縁が盛り上がり始めるところ)がある。ここに右フロントタイヤを乗せ、同時に体重移動でマシンの荷重を目一杯左に移し、ブレーキング。以上のことを瞬時に同時に行う。さらに付け加えると、「曲がれっ!!」と絶叫するとなお効果的だ(笑)。全てのタイミングがピッタリ合えば、あら不思議、マシンはそのまま、逆バンクのクリップまで縁石に沿ってインベタで曲がっていく。あとは、いつもどおりスムーズに立ち上がるだけだ。脱出速度も、セオリーラインとほとんど変わらない。 これが、仮称「家元奥義」の全貌である。これが成功すると、2コーナー〜逆バンク間の絶対速度が上がる分確実にタイムアップできるし、ピロマジックと併用するとその効果は絶大である。連続周回でのタイムアップはもちろんのこと、副作用として、後続車につけいる隙を与えないというおまけがつく。さらに、セオリーラインを走る先行車をオーバーテイクする際にも非常に有効だ。逆バンクのブレーキングでズバッとインを差せるのだから。 だが、非常に難易度は高く、リスキーであるので、あまり真似はしないほうがいいだろう。荷重移動のタイミングを間違うと、リアが右に流れ、つまりイン側のダートに飛び出してしまって自爆する。ブレーキングが僅かでも遅れると、クリップにつけず大きくはらんで失速するか、逆バンク立ち上がりでアウトにコースオフする。これらの正確なタイミングを掴むのに、私は半年を要したが、未だに成功率は高いとは言えない。 ただこの技は、MVSの他のコーナー、奥のヘアピンや最終コーナーにも応用できる。それら全てで「奥義」が成功したラップは、通常よりコンマ5秒のタイムアップを保証しよう。 そしてなによりも…2コーナーをきれいにフルスロットルでかっ飛ぶ感覚は、めちゃくちゃ気持ちいい! |
写真(1)1コーナー立ち上がり |
| YEBISU.コーナー |
2004/8/2 追記
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| 逆バンクを立ち上がり、短い登りの後、左に折り返すYEBISU.コーナー。とはいっても、最近ではこの呼称はあまり使われてはおらず、普通に「4コーナー」と呼ばれることが多い。MVS入門の段階では、「重要なのは次の5コーナー(奥のヘアピン)なので、4コーナーは(スピードを)殺して走る」と教えられるだろう。だがその後練習を重ね、28秒台前半くらいのタイムが出るようになったら、さらにタイムアップするためには、このYEBISU.コーナーが大事になってくる。そして、この「YEBISU.」コーナーという名前の由来にこそ、その攻略ポイントが隠されているのだが、その由来については古い常連にでも聞いてもらいたい。ここでは、純粋にドライビングの話をしよう。 YEBISU.コーナーを単独で考えたとすると、いったんカートを右に振り、アウトインアウトまたはミドルインアウトでコーナーリングしたいところだろうが、ここはイン・イン・インと走るのがベストであると断言する。その理由は、「距離」である。 MVSのコース幅は、決して広いとは言えないが、それでもラインをミドルまたはアウトからとった場合、最低でもカート1台分以上の距離を余分に走ることになる。遠回りとなるはずのアウトインアウトがコーナーリングの基本と言われるのは、ひとえにコーナーリング中の速度を高く保ちたいがためである。だが、速いスピードでロスなくタイトに曲がることができるなら、その方が速いに決まっている。このYEBISU.コーナーは、それができるコーナーなのだ。 逆バンクからYEBISU.コーナーまでは登り坂なので、この区間でのステアリング抵抗や走行距離の差によるロスは、通常よりも大きい。ここは少しでもロスなく加速していけるよう、逆バンクでアウトにふくらんだらそのままYEBISU.コーナーのインまで、コース左端をまっすぐ走る。右の写真(1)でモデルをしてくれたポッター京介は、半車身インを開けているが、私はここを完全に閉めて進入していく。アクセルも全閉だ。ステアリングを切るのと同時に体重移動により荷重を完全に右側に移し、左フロントタイヤを縁石(写真(2)の黄矢印)に乗せると、荷重は右リヤタイヤに集中する。この時にアクセルを入れてやれば、カートは理想的な3輪状態(左フロント以外にトラクションがかかった状態)で、コーナーのインの縁にそって速いスピードで曲がっていく。実際、ほとんどの場合この後は5コーナーまで全開だが、リヤタイヤはしっかりとグリップしている。通常よりパワフルなカートでも、この後出口で写真(3)のように再び縁石を使ってやれば問題はない。ただし、ここに限らず縁石を使う場合、それ以前に荷重がアウト側に移っていなければ、あまり効果はないばかりかカートにダメージを与えることもあるので、注意しよう。 このYEBISU.コーナーの走り方、というかインから進入する走り方だが、実はMVSにおいて、もう1ケ所使う場所があるのだが、それはみなさんが考えていただきたい(3コーナーではないよ)。 残念でした!反転しても答えは書いてません(笑 どうしても答えが知りたいひとは、山で直接聞いてください。 さて、YEBISU.コーナーをイン・イン・インで抜けると、次の5コーナー、奥のヘアピンへは、写真(4)のようにアウトからアプローチできるようになる。ストレート手前のタイトコーナーという、どのサーキットでも最も重要なポイントとなるこのコーナーに、スムーズにアウトからアプローチできるというのは理想的である。 だが私は、ここでその理想的なラインを捨ててしまう。その理由は、次回更新で奥のヘアピンを攻略する際に書くことにしよう(次回更新がいつになるかは、全く不明ですけど)。 |
写真(1)YEBISU.コーナー進入
![]() 写真(2)YEBISU.コーナークリップ(1) ![]() 写真(3)YEBISU.コーナークリップ(2) ![]() 写真(4)奥のヘアピンアプローチ ![]() |